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最終確認日:2026年10月3日(制度や薬・医療機器の情報は、この日に公式サイトで確かめました)
美容医療の施術を何回分かまとめて申し込む「コース契約」。2017年12月1日から、一定の美容医療の契約は、特定商取引法の「特定継続的役務提供」の対象になりました。
国民生活センターは、一部の美容医療サービスは、期間が1か月を超え、金額が5万円を超える場合、特定商取引法が適用され、契約書面を受け取った日を含む8日間はクーリング・オフができると案内しています(2026年1月20日)。
この記事は、消費者庁の「特定商取引法ガイド」などをもとにした一般的な説明です。自分の契約が当てはまるかどうかは、消費生活センターなどに相談してください。
この記事は、施術を受けた感想ではなく、国や公的機関などの公式の情報を整理したものです。医療上の助言ではありません。施術を受けるかどうかは、医師から効果・リスク・費用の説明を聞いたうえで決めてください。持病や飲んでいる薬があるときは、必ず医師に伝えてください。
この記事で分かること
- 対象になる美容医療(施術・期間・金額)
- 契約の前と後に渡される2つの書面
- クーリング・オフは8日以内
- 8日を過ぎても中途解約できる
- 化粧品や薬などの「関連商品」
- クレジットで支払うとき
1. 対象になる美容医療(施術・期間・金額)
対象は、美容を目的とする医学的処置・手術・その他の治療のうち、決められた方法で行うものです(下の表)。期間が1か月を超え、金額が5万円を超える契約が対象になります。金額は、関連商品の代金なども含めた契約金の総額で見ます。
| 施術の目的 | 方法 | 例(消費者庁の解説) |
|---|---|---|
| 脱毛 | 光の照射、針を通じて電気を流す | レーザー脱毛、針脱毛 |
| にきび・しみ・そばかす・ほくろ・入れ墨などの除去、皮膚の活性化 | 光・音波の照射、薬剤の使用、機器を用いた刺激 | レーザーや超音波を照射する機器、ケミカルピーリング |
| しわ・たるみの症状の軽減 | 薬剤の使用、糸の挿入 | ヒアルロン酸注射、糸によるリフトアップ |
| 脂肪の減少 | 光・音波の照射、薬剤の使用、機器を用いた刺激 | 脂肪溶解注射、脂肪を冷却する機器 |
| 歯の漂白 | 歯の漂白剤の塗布 | ホワイトニングジェルを入れたマウストレーを着ける方法 |
国民生活センターは、1日で施術が終わる契約などは特定商取引法の対象外だと説明しています。消費者庁のQ&Aでは、コース契約をせず、その都度受けて払う場合も、続けるかどうかを自由に選べるなら、対象にならないと判断されます。ただし、続けて通うことを事実上強いられているなど、いくつかの契約が実質的に一体と判断される場合や、1回の治療でも無料のアフターサービスを1か月を超えて受けられる場合は、対象になることがあります。
2. 契約の前と後に渡される2つの書面
事業者は、契約する前に契約の概要を書いた「概要書面」を、契約したあとは「契約書面」を渡さなければなりません。契約書面は、特別な事情がない限り、契約したその場で渡すことになっています。本人が承諾すれば、書面の代わりに電子メールなどで受け取る方法もあります。
契約書面には、クーリング・オフや中途解約、割賦販売法に基づく抗弁権の接続、購入が必要な商品などを書くことになっていて、クーリング・オフについては赤枠の中に赤字で書くことになっています。書面を渡されなかったり、クーリング・オフについて書かれていないなど重要なことが抜けていたりすると、8日間の数え始めが来ず、クーリング・オフできる状態が続きます。
3. クーリング・オフは8日以内
契約書面を受け取った日から数えて8日以内なら、書面または電磁的記録(電子メールなど)で、無条件で契約を解除できます。関連商品の契約も一緒に解除できます。すでに施術を受けていてもその代金を払う必要はなく、損害賠償や違約金も払う必要はありません。払ったお金は、速やかに返してもらえます。
事業者がうそを言ったり脅したりしたために、期間内にクーリング・オフできなかったときは、8日を過ぎていてもできます。クーリング・オフは通知を出した時点で効力が生じ、事業者が承諾するかどうかは関係ありません。国民生活センターは、手続きについて次のように案内しています。
- はがきで出すときは両面をコピーし、「特定記録郵便」や「簡易書留」など、発信の記録が残る方法で送る
- 電子メールやウェブの専用フォームで出すときは、送ったメールや画面のスクリーンショットを保存する
- クレジット契約をしているときは、販売会社(クリニック)とクレジット会社に同時に通知する
- 送った記録や関係書類は、少なくとも5年間保管する
4. 8日を過ぎても中途解約できる
クーリング・オフの期間を過ぎても、契約期間中であれば、理由を問わずいつでも中途解約できます。関連商品も一緒に解約できます。このとき事業者が請求できる額には上限があり、上限より多く受け取っている分は返さなければなりません。
| 解約した時期 | 事業者が請求できる上限(美容医療) |
|---|---|
| 施術の開始前 | 2万円 |
| 施術の開始後 | 受けた施術の対価 +「5万円」と「契約残額の20%」の低いほう |
契約残額は、契約全体の金額から、すでに受けた分の対価を引いた額です。受けた分の計算に使う単価は、契約したときの単価が上限です(消費者庁の資料)。
勧誘のときに事実と違うことを言われたり、わざと事実を告げられなかったりして誤解して契約したときは、契約を取り消せます。特定商取引法の対象にならない契約でも、消費者契約法で、不当な勧誘による契約の取消しなどが定められています。
5. 化粧品や薬などの「関連商品」
美容医療の関連商品として決められているのは、次の4つです。施術を受けるのに買う必要がある商品として売られたものが対象です。
- いわゆる健康食品
- 化粧品
- 歯の漂白に使うマウスピースと歯の漂白剤
- 美容を目的とする医薬品・医薬部外品
必ずしも買う必要のない「推奨品」や、治療に伴って出される痛み止め・抗生剤などは対象外です。また、関連商品だけをクーリング・オフすることはできません。消費者庁は、買う必要があると説明された商品が、関連商品として書面に書かれているかを確かめてから契約するよう勧めています。化粧品などの消耗品は、自分で使ってしまうとクーリング・オフできないことがあります(事業者に使わされた場合などを除く)。
6. クレジットで支払うとき
割賦販売法でクレジット(信用購入あっせん)とされるのは、代金を2か月を超えて支払う取引(ボーナス一括払いも含む)です(経済産業省)。
- 買うたびにクレジット会社と契約する「個別クレジット」で、特定商取引法の対象になる美容医療の契約の代金を払う場合、クレジット契約にも8日間のクーリング・オフがあります(クレジットの申込書面か契約書面の、早く受け取ったほうの日から数えます)。クレジット契約をクーリング・オフすると、クリニックとの契約も同時にクーリング・オフされます。
- クーリング・オフや中途解約に応じてもらえないなど、クリニックとの間に問題があるときは、クレジット会社への支払いを止められる場合があります(支払停止の抗弁)。ただし、現金販売価格に分割払い手数料を加えた総額が4万円未満(リボ払いは現金販売価格が3万8千円未満)のときなどはできません(割賦販売法施行令)。日本クレジット協会は、まずクリニックと交渉し、解決しないときにクレジット会社へ申し出るよう案内しています。
国民生活センターは、分割払いは月々の支払いが少なくても、手数料を含めた総額が高くなる場合があるとして、クレジットを組んでまで必要な施術か考えること、申し込むときは年収などを正しく申告することを呼びかけています。
困ったときは、消費者ホットライン「188」に電話すると、近くの消費生活センターなどの相談窓口を案内してもらえます。相談は無料ですが、相談窓口につながった時点から通話料がかかります。相談先のくわしい話は「美容医療のトラブルと相談先」で説明しています。
まとめ
決められた美容医療の施術で、期間が1か月を超え、金額が5万円を超える契約は、特定商取引法の対象です。契約書面を受け取った日から8日以内ならクーリング・オフができ、過ぎても中途解約ができます。契約の前は概要書面で、契約したら契約書面で、クーリング・オフ・中途解約・関連商品・支払い方法を確かめ、書面は大切に保管しましょう。自分のケースに当てはまるか迷ったら、188に相談してください。
参考にした公式情報(2026年10月3日確認)
- 消費者庁 特定商取引法ガイド「特定継続的役務提供」
- 消費者庁 特定商取引法ガイド「特定継続的役務提供Q&A」
- 消費者庁「特定継続的役務提供(美容医療分野)Q&A」
- 消費者庁「特定商取引に関する法律の解説 第4章 特定継続的役務提供」(令和7年6月1日時点版)
- 消費者庁「平成28年改正特定商取引法について」
- 消費者庁「消費者契約法」
- 消費者庁「消費者ホットライン」
- 経済産業省「割賦販売法(後払分野)の概要・FAQ」(概要資料)
- 日本クレジット協会「支払停止等の抗弁に関する手続きについて(ご案内)」
- e-Gov法令検索「割賦販売法施行令」(第21条・第26条。支払停止の抗弁ができない金額)
- 国民生活センター「クーリング・オフ」
- 国民生活センター「男性の美容医療トラブルも増加!」(2026年1月20日)
- 国民生活センター「増加する美容医療サービスのトラブル」(2023年8月30日)
