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最終確認日:2026年10月3日(制度や薬・医療機器の情報は、この日に公式サイトで確かめました)
医療の広告は、ウェブサイトだけでなく、SNSや動画でも行われています(厚生労働省の事例解説書)。こうした広告は、医療法と、厚生労働省の「医療広告等ガイドライン」(令和8年3月30日最終改正)で、書いてよいことと、いけないことが決められています。
美容医療に関する相談件数が増えるなかで、平成29年の医療法の改正(平成30年6月1日施行)により、医療機関のウェブサイトも、ほかの広告と同じように規制の対象になりました。
この記事では、ガイドラインと、厚生労働省のQ&A、事例解説書(第6版)をもとに、広告を見るときのポイントを整理しました。個別の広告が違反かどうかを判断するものではありません。
この記事は、施術を受けた感想ではなく、国や公的機関などの公式の情報を整理したものです。医療上の助言ではありません。施術を受けるかどうかは、医師から効果・リスク・費用の説明を聞いたうえで決めてください。持病や飲んでいる薬があるときは、必ず医師に伝えてください。
この記事で分かること
- 何が「医療広告」にあたるか
- 広告で禁止されていること
- 体験談と、施術の前後の写真のルール
- ウェブサイトの「限定解除」の4つの条件
- 事例解説書に載っている事例の種類
- 広告を見るときのチェックリストと相談先
1. 何が「医療広告」にあたるか
ガイドラインでは、次の3つをすべて満たすものを医療広告として扱います。
- 患者の受診等を誘引する意図があること(誘引性)
- 医師や病院・診療所などの名前が特定できること(特定性)
- 医業や病院・診療所に関する内容であること
規制の対象は、医療機関だけではありません。広告代理店、アフィリエイター(ブログなどで紹介し、その成果に応じて報酬が支払われる人)、患者や一般の人も含め、「何人も」対象です。
「これは広告ではありません」と書いてあっても、病院名などが書かれていて、実質的に誘引性と特定性を満たせば、広告として扱うのが適当とされています。患者に広告と気づかれないように行う、いわゆるステルスマーケティングも、医療機関が広告料などを負担して掲載を頼んでいるなど、実質的に要件を満たす場合は、広告として扱うのが適当な場合があるとされています。
2. 広告で禁止されていること
うその広告(虚偽広告)は罰則つきで禁止され、ほかにも次の広告が禁止されています(ガイドライン)。
| 禁止される広告(ガイドラインの見出し) | ガイドラインにある例など |
|---|---|
| 内容が虚偽にわたる広告(虚偽広告) | 「絶対安全な手術です!」、加工・修正した術前術後の写真 |
| 他の病院又は診療所と比較して優良である旨の広告(比較優良広告) | 「日本一」「№1」「最高」などの最上級の表現、「著名人も当院で治療を受けております。」 |
| 誇大な広告(誇大広告) | 「比較的安全な手術です。」、大きく表示した値段が5か所以上同時の費用で、注釈を見落とすような表示(美容外科の例) |
| 公序良俗に反する内容の広告 | わいせつ・残虐な図画や映像、差別を助長する表現など |
| 広告可能事項以外の広告 | 未承認医薬品(海外の医薬品やいわゆる健康食品等)による治療の内容など |
| 患者等の主観に基づく、治療等の内容又は効果に関する体験談 | 3章で説明 |
| 治療等の内容又は効果について、患者等を誤認させるおそれがある治療等の前又は後の写真等 | 3章で説明 |
このほか、「今なら○円でキャンペーン実施中!」のように費用を強調した広告など、品位を損ねる内容の広告は「厳に慎むべき」とされています。Q&Aは、美容医療などで「プチ~」のように手軽さを印象づける表現も、事実を不当に誇張したり誤認させたりするものは、誇大広告にあたる可能性があるとしています。
3. 体験談と、施術の前後の写真のルール
体験談
医療機関が、治療の内容や効果について、患者の体験や家族などから聞いた話にもとづく体験談を、自分の医療機関に誘う目的で紹介することは認められていません。感想は患者の状態などで違い、誤解を与えるおそれがあるためで、内容が広告できる範囲のことでも認められません(ガイドライン)。事例解説書では、スタッフ自身の体験談、口コミサイトから都合のよい口コミを抜き出して載せること、他の人のSNSの投稿を引用して紹介することも、違反の例として挙げています。
一方、個人のブログなどについて、Q&A(A2-11)は次のように答えています。
「個人が運営するウェブサイト、SNSの個人のページ及び第三者が運営するいわゆる口コミサイト等への体験談の掲載については、医療機関が広告料等の費用負担等の便宜を図って掲載を依頼しているなどによる誘引性が認められない場合は、広告に該当しません。」
施術の前後の写真
いわゆるビフォーアフター写真は、治療の結果は患者の状態などで違うため、誤認させるおそれがある写真は認められていません。ただし、写真に、通常必要とされる治療内容、費用などと、治療の主なリスク、副作用などの詳しい説明を付けた場合は、これにあたりません。その説明をリンク先のページに載せたり、良い点に比べて極端に小さな文字で載せたりしてはならないとされています(ガイドライン)。手術の前だけ、後だけの写真も同じ扱いです(Q&A、A2-8)。
4. ウェブサイトの「限定解除」の4つの条件
医療の広告で書けることは、法律などで決められた事項(広告可能事項)に限られます。ただし、次の①〜④をすべて満たした場合は、この限定が解除され、ほかの事項も広告できます。③と④は、自由診療について情報を提供する場合に限ります(ガイドライン)。
① 医療に関する適切な選択に資する情報であって患者等が自ら求めて入手する情報を表示するウェブサイトその他これに準じる広告であること
② 表示される情報の内容について、患者等が容易に照会ができるよう、問い合わせ先を記載することその他の方法により明示すること
③ 自由診療に係る通常必要とされる治療等の内容、費用等に関する事項について情報を提供すること
④ 自由診療に係る治療等に係る主なリスク、副作用等に関する事項について情報を提供すること
③では、通常必要とされる治療内容、標準的な費用、治療期間と回数を載せ、標準的な費用がはっきりしないときは、最低金額から最高金額(よくある追加費用を含む)の範囲を示すなどとされています。インターネットのバナー広告や、検索サイトでスポンサーとして表示されるものなどは、①を満たしません。
Q&Aは、限定解除の記載は患者が容易に見られることが必要で、文字が極端に小さいものや、背景と同じような色の文字などは、容易に見られる状態ではないとしています。未承認の医薬品などを自由診療で使う場合は、未承認であることなど、さらに多くの情報を載せる必要があります。また、限定解除されても、禁止された広告にあたるものや、うその内容は認められません(ガイドライン)。
5. 事例解説書に載っている事例の種類
厚生労働省の「医療広告規制におけるウェブサイト等の事例解説書」は、ネットパトロールで集まった実際の事例などをもとに作られています。第6版(令和8年3月)では、自由診療の限定解除の要件を満たしていない事例や、SNS・動画の広告事例が拡充されました。事例は、次のように分けられています。
- 第1章 ウェブサイトにおける事例:広告が禁止される事例(虚偽広告、誇大広告、比較優良広告、体験談、ビフォーアフター写真)/広告可能事項の記載が不適切な事例/限定解除要件の記載が不適切な事例/広告するにあたって注意が必要な事例
- 第2章 SNS・動画広告における事例:SNSにおける広告事例/動画における広告事例
たとえば「全身脱毛3年間し放題」「回数無制限プラン」という表記は、実際には毛周期(体毛が生え変わるサイクル)の関係で受けられる回数が限られるため、誤認を与える可能性がある誇大広告の例として載っています。SNSでは、プロフィール、投稿、返信のどこかに禁止された内容があれば違反になります。なお、載っている事例は一例で、不適切な例や改善例のすべてではないとされています。
6. 広告を見るときのチェックリストと相談先
ガイドラインと事例解説書をもとにした、確かめたい点です。
- 「日本一」「№1」「最高」など最上級の言葉や、ほかの医療機関との比較がない
- 「絶対安全」「必ず成功」のような言い切りがない
- 著名人が受けた、すすめている、と強調していない
- 患者やスタッフの体験談が載っていない
- 前後の写真の近くに、治療内容・費用・主なリスクや副作用の説明がある
- 自由診療の治療内容、標準的な費用、期間と回数、主なリスクや副作用が、読みやすく書かれている
- 問い合わせ先が書かれている
- キャンペーンや割引など、費用ばかりを強調していない
医療機関のウェブサイトにうそや大げさな表示があったときは、厚生労働省の「医療機関ネットパトロール」に情報を寄せることができます。通報フォームでは、ホームページのほか、ブログ・SNS・動画や口コミサイトなども選べます。医療広告についての相談は、医療機関を所管する自治体や保健所の窓口へ、契約のことは消費者ホットライン188へ相談できます(厚生労働省)。
まとめ
美容医療の広告では、虚偽、比較優良、誇大、公序良俗に反するもの、体験談、誤認させるおそれがある前後の写真などが禁止されています。ウェブサイトは、問い合わせ先と、自由診療の治療内容・費用・主なリスクや副作用などを示せば、広告できる範囲が広がります(限定解除)。言い切りや比較の言葉がないか、費用とリスクの説明が近くにあるかを確かめ、おかしいと思ったら医療機関ネットパトロールや自治体の窓口に相談しましょう。
参考にした公式情報(2026年10月3日確認)
- 厚生労働省「医療法における病院等の広告規制について」
- 厚生労働省「医療広告等ガイドライン」(令和8年3月30日最終改正)
- 厚生労働省「医療広告等ガイドラインに関するQ&A」(令和8年3月改定)
- 厚生労働省「医療広告規制におけるウェブサイト等の事例解説書(第6版)」(令和8年3月)
- 厚生労働省「医療広告規制におけるウェブサイト等の事例解説書(第6版)について」(事務連絡、令和8年3月30日)
- 厚生労働省「医療機関ネットパトロール」
- 厚生労働省「医療広告相談窓口一覧」
