「肌育注射」とは|呼び名の意味と、成分・承認の確かめ方

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最終確認日:2026年10月3日(制度や薬・医療機器の情報は、この日に公式サイトで確かめました)

「肌育注射」という言葉を聞いて、どんな注射なのか気になっている方もいるかもしれません。

調べてみると、この言葉には、国や学会が決めた定義が見当たりませんでした。この記事では、呼び名だけでは中身が分からない理由と、成分や国の承認を自分で確かめる方法を、厚生労働省や PMDA(独立行政法人医薬品医療機器総合機構)などの公式の情報をもとにまとめました。

この記事は、施術を受けた感想ではなく、国や公的機関などの公式の情報を整理したものです。医療上の助言ではありません。施術を受けるかどうかは、医師から効果・リスク・費用の説明を聞いたうえで決めてください。持病や飲んでいる薬があるときは、必ず医師に伝えてください。

この記事で分かること

  1. 「肌育注射」は決まった名前ではない
  2. 薬か医療機器かで、調べる場所が変わる
  3. 添付文書の読み方(ヒアルロン酸の注入材の例)
  4. 承認された品でも、使い方で扱いが変わる
  5. 未承認品を広告するときに示される5つの情報
  6. 相談事例

1. 「肌育注射」は決まった名前ではない

2026年10月3日に、厚生労働省、PMDA、消費者庁、国民生活センターのサイトと、日本皮膚科学会などの学会のサイトを調べた範囲では、「肌育注射」の決まった定義は見当たりませんでした。学会などがまとめた「美容医療診療指針(令和3年度改訂版)」にも、この言葉は出てきません。

そのため、「肌育注射」という呼び名だけでは、何を注射するのかは分かりません。受ける前に、次のことを医師に聞きましょう。

  • 注射するものの成分名(一般名)と販売名
  • 医薬品か、医療機器か
  • 日本で承認された品か
  • 承認された効能・効果(使用目的)の範囲の使い方か

厚生労働省も、美容目的の自由診療で使う薬や材料、機器などは、法律(医薬品医療機器等法)で承認などがされていない場合があるとして、使われる医薬品などの安全性と有効性を自分でも説明できるようになるまで、医師の説明を聞くよう呼びかけています。

2. 薬か医療機器かで、調べる場所が変わる

日本で正規に流通している医薬品や医療機器は、医薬品医療機器等法に基づいて、品質、有効性、安全性の確認がされています(厚生労働省)。皮膚に注入するものには、医薬品だけでなく医療機器もあります。たとえば、承認されたヒアルロン酸の注入材の添付文書には「高度管理医療機器」と書かれていて、PMDA の承認品目一覧には「ヒアルロン酸使用軟組織注入材」として承認された品が複数あります。

ただ、国民生活センターの「国民生活」2023年11月号で、日本美容医療協会の理事長は、ヒアルロン酸製剤には日本の承認を得た正式な製剤がある一方、海外で作られた類似の薬品を医師が個人輸入して使っていることがあると説明しています。

種類 PMDA の検索ページ 名前を入れる欄 添付文書で見るところ
医薬品 医療用医薬品 情報検索 一般名・販売名 効能又は効果、用法及び用量
医療機器 医療機器 情報検索 一般的名称・販売名 使用目的又は効果、使用方法等

どちらの検索も、対象は添付文書が公開されている品目です。見つからないときは、承認された品かどうかを医師に直接たずねましょう。

3. 添付文書の読み方(ヒアルロン酸の注入材の例)

例として、「皮膚状態の改善」を使用目的に含めて2020年12月10日に承認された、ヒアルロン酸の注入材「ジュビダームビスタ ボライト XC」の添付文書(2023年8月 第1版)を見てみます。この記事は、この品をすすめるものではありません。

項目 添付文書に書かれていること
使用目的又は効果 「本品は、成人において、顔面及び頸部における小じわ等の表面のへこみ修正及び皮膚状態(保水性、弾力性等)の改善を目的に皮内に注入して使用される。なお、眼瞼、口唇、及び隆鼻術における使用は本品の適応に含まれない。」
警告(一部) 血管内に注入しない(血管閉塞、塞栓、虚血、梗塞などの原因になる)。目の下や目の周り、眉間、額など、皮膚の薄いところなどへの注入は慎重に(視力障害・失明、脳卒中、壊死などを起こす可能性)。炎症や感染がある部位には使わない
使ってはいけない人 成分やアミド型局所麻酔剤に過敏症を起こしたことがある人、グラム陽性菌由来の蛋白に過敏症を起こしたことがある人
慎重に使う人(一部) 出血しやすい人、アスピリンなどの非ステロイド性消炎鎮痛剤やワルファリンなどの抗凝固剤を使っている人(あざや出血が起こりやすい)など
安全性と有効性が確立していない人 妊婦・産婦・授乳婦、未成年。臨床試験は32歳から72歳の人で評価された
有害事象(一部) 小結節、肉芽腫、アレルギー反応、壊死、腫れ、変色など。まれに、血管内注入などによる失明や脳卒中

この品には、痛みをやわらげるためにリドカイン(局所麻酔薬)も含まれています。添付文書には専門的な言葉も多いので、分からないところは医師に説明を求めましょう。

4. 承認された品でも、使い方で扱いが変わる

医療広告等ガイドラインでは、承認されていない医薬品・医療機器・再生医療等製品だけでなく、承認された効能・効果や用法・用量と違う使い方をするものも「未承認医薬品等」として扱います。Q&A でも、承認がない効能・効果に使う適応外使用は、広告の扱いも未承認医薬品等と同じとされています。たとえば上の注入材でも、まぶた(眼瞼)や唇(口唇)、鼻を高くする手術(隆鼻術)での使用は、適応に含まれないと書かれています。

厚生労働省の事例解説書(第6版、2026年3月)は、美容注射の記載例としてヒト胎盤抽出物(プラセンタ)を挙げ、「慢性肝疾患における肝機能の改善」の効能・効果で承認されているものの、美容目的での使用は国内で承認されていない、という書き方を示しています。

また、厚生労働省の事務連絡(2024年8月13日)は、国内で承認されたヒアルロン酸注入材のシリーズと有効成分、用量、投与方法等が同じ海外製の品を「本邦未承認医薬品等」としています。成分が同じでも、海外製の品は日本では未承認の扱いになることがあるのです。

5. 未承認品を広告するときに示される5つの情報

医療機関がウェブサイトなどで、未承認医薬品等を使う自由診療を紹介するときは、医療広告等ガイドライン(令和8年3月30日最終改正)で、治療の内容や費用、主なリスクなどに加えて、次の5つを示すことになっています。

示すこと 中身(要約)
未承認医薬品等であること 医薬品医療機器等法の承認等を得ていないこと
入手経路等 医師等の個人輸入なら、その旨。厚生労働省の「個人輸入において注意すべき医薬品等について」のページも案内する
国内の承認医薬品等の有無 同じ成分や性能の国内承認品があるか。あれば、流通管理などの承認条件も
海外での安全性等の情報 欧米の主な国で承認されていれば、その国の添付文書の重大な副作用など。承認国がないなど情報が足りなければ、重大なリスクが明らかになっていない可能性があること
救済制度の対象外 医薬品副作用被害救済制度などの救済の対象にならないこと

これらは、リンク先のページに載せたり、極端に小さな文字で載せたりしない配慮が求められています。承認を受けていない製品を使う再生医療等も、ウェブサイトで紹介するときは同じ対応が必要とされています(Q&A)。広告の見分け方は「医療広告のルールで、美容医療の広告を見分ける」で説明しています。

6. 相談事例

国民生活センターの「美容医療サービス」のページ(2026年7月31日更新)には、最近の事例として、美容皮膚科で美容注射の契約をしたが、医師からリスクの説明がなく、帰宅後に副作用でしこりが残るリスクがあると知って不安になった、という相談が載っています。

国民生活センターが2016年9月15日に公表した、60歳以上の女性の美容医療トラブルの資料には、口の周りのしわ取りで「ヒアルロン酸を含むいろいろな成分を注射する」と説明され、その場で施術を受けた60歳代の女性の事例があります。5日たっても、注射の痕がシミになり、口の周りが腫れていたといいます。

何を注射するのか分からないまま受けることがないよう、施術の前に成分名を確かめましょう。困ったときの相談先は「美容医療のトラブルと相談先」で説明しています。

まとめ

「肌育注射」は決まった定義のない呼び名です。名前ではなく、何を注射するのかで考えましょう。

  • 成分名と販売名、医薬品か医療機器かを医師に聞く
  • PMDA で添付文書を調べ、効能・効果(使用目的)と警告・禁忌を見る
  • 承認された使い方か、未承認なら5つの情報の説明があるかを確かめる
  • 持病や飲んでいる薬を伝え、その日のうちに決めない

参考にした公式情報(2026年10月3日確認)

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