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最終確認日:2026年10月3日(制度や薬・医療機器の情報は、この日に公式サイトで確かめました)
眉毛のアートメイクは、針で皮膚に色素を入れて、化粧をしなくても眉の色合いを美しく見せようとする施術です(国民生活センターの説明より)。
厚生労働省は、眉毛を描くアートメイクを「医行為」(医師が行うのでなければ体に危害が出るおそれのある行為)としています。医師免許のない人が業として(くり返し続けるつもりで)行えば、医師法違反です。
この記事では、厚生労働省の通知、国民生活センターの報告書、MRI検査や献血についての公的な資料をもとに、医療機関で受ける理由と、受ける前に知っておきたいことをまとめました。
この記事は、施術を受けた感想ではなく、国や公的機関などの公式の情報を整理したものです。医療上の助言ではありません。施術を受けるかどうかは、医師から効果・リスク・費用の説明を聞いたうえで決めてください。持病や飲んでいる薬があるときは、必ず医師に伝えてください。
この記事で分かること
- アートメイクとは、どんな施術か
- 厚生労働省は「医行為」としている
- 国民生活センターに寄せられた危害
- 色素・感染・アレルギーなどのリスク
- 受ける前に知っておきたいこと(MRI検査・献血)
1. アートメイクとは、どんな施術か
厚生労働省の一般向けサイト「その美容医療、ちょっと待って!」は、アートメイクを、皮膚のごく浅い層に色素を定着させる美容医療の1つとして紹介しています。
2025年12月の厚生労働省などの通知では、針の先に色素を付けながら皮膚の表面に墨などの色素を入れる行為のうち、次の2つを「アートメイク」としています。
- もともと体にありうるもの(眉毛、毛髪、乳輪・乳頭など)を描く行為
- 化粧の代わりになる飾り(アイライン、チーク、リップなど)を描く行為
国民生活センターの報告書(2011年)によると、「入れ墨メイク」「永久メイク」など呼び方はさまざまで、特に定まったものはありません。施術する側が「数年で消えるので入れ墨とは違う」と説明する例もありますが、報告書は、皮膚の浅い深いに関係なく、針で色素を入れるという意味でアートメイクは入れ墨だと指摘しています。
2. 厚生労働省は「医行為」としている
医師法第17条により、医師でない人は「医業」を行うことができません。厚生労働省の通知は、医師の医学的な判断と技術がなければ体に危害を及ぼすおそれのある行為を「医行為」とし、それをくり返し続けるつもりで行うことを「医業」と説明しています。主な通知は次のとおりです。
| 時期 | 示したこと |
|---|---|
| 2001年11月 | 針の先に色素を付けながら、皮膚の表面に墨などの色素を入れる行為は、医師免許のない人が業として行えば医師法違反になる |
| 2023年7月 | 2020年の最高裁判所の決定で、その事件のタトゥーの施術は医行為ではないとされた。一方、眉毛やアイラインを描く行為は、医療の一環として医師・看護師などが関わっている実態があり、医行為にあたる(福島県への回答) |
| 2025年8月 | 眉毛などを描く行為は医行為。「○○メイク」「○○タトゥー」など、アートメイク以外の名前でも同じ。看護師などが医師の指示なしに行うことも違法 |
| 2025年12月 | 美容所などで、名前を問わずアートメイクが行われることのないよう、営業者などへの周知徹底を都道府県に求めた(経済産業省の担当課と連名) |
厚生労働省のページ「美容所等におけるアートメイク施術について」には、名前を問わずアートメイクはすべて医行為であり、特定の施術を厚生労働省が許可・容認した事実は一切ないと書かれています。「国が認めた施術」といった説明を聞いたときは、この点を思い出してください。
医療機関では、看護師なども、医師の指示のもとで診療の補助として医行為を行うことができます(2025年8月の通知)。
3. 国民生活センターに寄せられた危害
国民生活センターの報告書「アートメイクの危害」(2011年10月27日)を紹介します。少し前の資料です。
全国の消費生活センターなどの相談を集めたデータベース(PIO-NET)には、2006年4月1日から2011年10月18日までの登録分で、アートメイクの危害の相談が121件ありました。報告書は、その大半が医師免許のない人の施術によると思われる事例だとしています。施術した場所は次のとおりです。
| 施術した場所 | 件数 |
|---|---|
| アートメイクの施術をしているサロンなど | 46件 |
| エステサロン | 33件 |
| 個人の家 | 12件 |
| 美容院 | 8件 |
| 医療機関 | 5件 |
| 記載なし | 17件 |
危害の内容は「皮膚障害」が69件でいちばん多く、ほかに目の角膜の傷、施術したところの腫れや痛みなどがありました。部位は、眼と眼のまわりが64件、眉が43件です。眉のアートメイクの2回目の施術のあとに化膿した、施術中から痛く、眉のまわりの赤い腫れと痛みが続いている、といった相談が紹介されています。
厚生労働省の一般向けサイトも、報告されているトラブルとして「無資格者による施術」「エステサロン等での施術」を挙げ、エステティシャンなど医師以外の人による施術は法律で禁止されているので受けてはいけない、と呼びかけています。
4. 色素・感染・アレルギーなどのリスク
国民生活センターの報告書は、アートメイクの問題点として、次のようなことを挙げています。
| リスク | 報告書に書かれていること |
|---|---|
| 色素とアレルギー | どんな色素でもアレルギーを起こす危険性がある。アメリカの食品医薬品局(FDA)は、化粧品用の色素は認可しているが、入れ墨やアートメイク用に皮膚の中に入れる色素は認可していない |
| 感染・腫れ | 施術が直接の原因の感染症と確認できたものは少ないが、腫れが長く続いたり、化膿して跡が残ったりした例がある |
| 痛み・体調 | 痛みに耐えられず途中でやめた例や、痛みや刺激で体調が悪くなった例がある |
| 仕上がり | 一度しっかり色が入ると、すぐには消えない。左右の形が違ってしまった、顔の別の場所に色が入ってしまったという例も少なくない |
| 消すとき | 入れるときの倍以上の時間と費用がかかる。医療機関でレーザーを何度も当てるため、長く通院する必要がある。黒色でなければ、レーザーで消すのも難しい。自由診療で自費になる |
医療機関で受ければリスクがなくなるわけではありません。厚生労働省のサイトは、医師の経験・技量の不足などによる副作用のトラブルも起きているとして、リスクを施術の前に正しく知り、期待したとおりの効果がない場合もあると理解しておくよう呼びかけています。
5. 受ける前に知っておきたいこと(MRI検査・献血)
MRI検査を受けるとき
日本磁気共鳴医学会と日本医学放射線学会の「臨床MRI安全運用のための指針」(2025年12月23日改訂)は、医療機関に、体の中の医療機器や金属、入れ墨などを検査の前に問診票などで把握し、やけど(熱傷)など体に悪い影響を与えるおそれがあるものを適切に管理するよう求めています。
厚生労働省が医療機関向けに公開している多言語の説明資料の「MRI検査 問診票」(日本語も併記)にも、「刺青・アートメイクがある」という項目があり、部位を書くようになっています。国民生活センターの報告書も、FDAが入れ墨とアートメイクの危険の1つに「MRI検査の際の問題」を挙げていると紹介しています。
アートメイクをしている人がMRI検査を受けるときは、問診票や検査前の確認で、アートメイクをしていることと、その場所を伝えましょう。
献血をするとき
日本赤十字社は、6か月以内にいれずみを入れた人には、肝炎などのウイルス感染の可能性を否定できないため、献血を控えてもらっています。大阪府赤十字血液センターの「よくあるご質問」も、タトゥーやアートメイクを入れた人の献血についての質問に、少なくとも6か月間は控えてもらい、その後は医師の判断で協力をお願いしていると答えています。
医療機関で確かめたいこと
厚生労働省のサイトのチェック項目も参考に、次のことを確かめましょう。くわしくは「美容医療を受ける前に確かめること」で説明しています。
- 医療機関で、医師の診察と指示のもとで行われるか
- 使う色素について説明があったか
- 腫れ・化膿・アレルギーなどのリスクと、起きたときの対応の説明があったか
- 消したくなったときの方法と、かかる時間・費用の説明があったか
- 持病、飲んでいる薬、アレルギーを医師に伝えたか
- 「今契約すれば安くなる」などと、契約を急がされていないか
まとめ
眉毛のアートメイクは、針で皮膚に色素を入れる施術で、厚生労働省は、名前を問わず医行為としています。国民生活センターの報告書では、危害の相談の多くが医療機関以外での施術でした。
ただし、医療機関で受けてもリスクはなくなりません。アレルギーや腫れ、消すときの負担、MRI検査や献血のことも知ったうえで、医師の説明を聞いて決めましょう。困ったときの相談先は「美容医療のトラブルと相談先」で説明しています。
参考にした公式情報(2026年10月3日確認)
- 厚生労働省「医師免許を有しない者による脱毛行為等の取扱いについて」(平成13年11月8日 医政医発第105号)
- 厚生労働省「医師免許を有しない者によるいわゆるアートメイクの取扱いについて」(令和5年7月3日 医政医発0703第5号)
- 厚生労働省「美容医療に関する取扱いについて」(令和7年8月15日 医政発0815第21号)
- 厚生労働省「美容所等におけるアートメイク施術について」(通知は令和7年12月26日)
- 厚生労働省「その美容医療、ちょっと待って!」
- 国民生活センター「アートメイクの危害」(2011年10月27日 報道発表資料。堺市のページ「アートメイクによる危害に注意」に掲載)
- 日本磁気共鳴医学会・日本医学放射線学会「臨床MRI安全運用のための指針」(2025年12月23日改訂)
- 厚生労働省「外国人向け多言語説明資料 一覧」(「MRI検査 問診票」)
- 日本赤十字社「6カ月以内にいれずみを入れた方」
- 大阪府赤十字血液センター「よくあるご質問」
